第二章



程なくして、ラディスはフォックスと共に食堂に来ていた。それぞれの相方ともいえるファルコとクレシスが、あの一件で機嫌を損ねてしまった為である。

触らぬ神に祟りなし、というわけだ。

「なあ、フォックス」

ラディスは不意に口を開いて。

まだ食事の途中だったフォックスは口に含んでいたご飯を飲み込み、注目する。

「勝利することに価値はあるのか?」

さて、どちらの話に触れてくるのだろうと身構えていれば。マリオの発言が気になったのだろう、フォックスは箸を置いて。

「答えはイエスだな」

ラディスは目を丸くした。

「が、逆はノーだ」

直ぐ様返されて、ラディスは困ったような顔をする。フォックスは続けた。

「勝利を得れば何らかの利点があるのは確かだ。賞品、優越感。なら、勝利を価値あるものと例えるのは誤りじゃない……」
 
 
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