第七章
「ダウト!」
とある格闘道場。
広い畳の間に幾つもの布団を敷いて、思い思いに過ごしていたのはラディスとクレシスの二人を除いたDX部隊メンバーである。そう、ここはリムの実家。
それこそ日が暮れるまで子供のように遊び呆けただけあって晩飯や風呂を終えて午後九時を過ぎた頃には疲労から眠気に負ける者も多かった。その中でもやはり青年期真っ盛りの男子は侮れない。比較的元気で次々と室内ゲームを思いついていく。
「あがッ、くそ!」
「鳥さんは顔に出るから分かりやすいんだよねー」
苦虫を噛み潰したような顔をして場札を回収するファルコに、カービィはトランプを口元に添えてにやりと笑う。場に放るとファルコはすかさず指差して、
「ダウト!」
「はいじゃあ回収お願いしまーす」
「てんめえぇええ!」
窓の外は真っ暗だ。いつもなら依頼届を整理してる頃。
……今、何してるだろうな。
「気になる?」
突然声をかけられ、読書用の本を手に布団の上に腰を下ろしては窓を通し、夜空を眺めていたフォックスはそれこそ大袈裟に肩を跳ねさせた。思わず仰け反って顔を向ければ、そこにはきょとんとした様子でマルスが見つめている。
「べ……別に気にしてなんか、ないさ」
ふいと顔を背けて。フォックスは読書を再開する。
「はいダウト」
「くっそぉおお!」
「もうっ! いい加減寝るでしゅよおばか男子っ!」