第七章



急いで追いかけてきた様子もなく、遅れて家から出てきたカービィは何故かクレシスと鉢合わせしていた。ぴしっと石のように硬直するクレシスを正面にして、カービィは怪訝そうにそろそろとその後ろを覗き込んでみる。

楽しそうにルーティと遊ぶ子供たちと、その奥。女性の後ろでじっと此方を見つめる子供が一人。よく似ている。言わず聞かずとも直感でそう思った。

「……ストップ」

それだというのに硬直が解けたかと思えば家の中に入ろうとするクレシスを、カービィはその子供から視線を外さないまま腕を差し出して行く手を阻んだ。

「なに。トイレ?」

下手な言い訳は避けてさっと目を逸らす。賢いが、やはり怪しい。

「あんたの子供でしょ。嫌いなの?」
「関係ねえだろ」
「せっかく再会したんだからもう少し素直になりなよ」

はい回れ右、とカービィは無理矢理後ろを向かせて背中を押す。


「まあ、クレシスったら帰っていたのね!」


余計なことをするなと言いかけて、女性が嬉しそうな声を上げた。

それに対するクレシスはぎこちなくそれでいて冷や汗をかきながら振り返ってその女性を見つめる。腰が引けているのは恐らく気のせいではないだろう。

「へえー奥さん?」
「クレシスの妻をやっております、メルティです」

柔らかな印象の女性。

対象的だ。雰囲気がまるで違う。

「じゃあそこの子供は」
「息子のスピカ。ちょっと人見知りなのよ」
 
 
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