第七章



その時、扉が開いた。

現れた二人の人物に女性は小さく目を開く。

「……やっぱり」

ラディスは思ったことを同時に口にした。

何でだろう。家の中からだと声は聞こえないはずなのに、それでも聞こえた気がしたんだ。そしてその正体は実際に、ああして抱きかかえられている。

「ルーティ……」

大丈夫かな。分かるかな。

リンクが地面に下ろしてはくれたが、ルーティはじっと此方を見つめているだけですぐには駆け寄ってこなかった。もしかして忘れちゃったのかな。


「……ぱぱ」


どくん、と小さく心臓が跳ねた。

「ぱぱー!」 

ああ、間違いない。

無邪気な笑顔を見せてよたよたと、確実に此方へ。それが泣きそうになるくらい嬉しくて、少し恥ずかしくて、頬を染めた。

にっこりと笑顔で返して自分も前に出てから膝を付き、腕を広げる。愛しい小さな体が胸に飛び込んできて腕の中へおさまった。ふわふわの髪の匂いを嗅いで、鼻を擦り付けて、きゃっきゃっと笑う息子に微かに瞳を濡らしてしまいながら。

「っ……ただいま、ルーティ……!」

――帰ってきてよかった、と改めて胸に染みる。
 
 
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