第七章
……しかしこれだけの人数で森を歩いていると、時たますれ違う人に変な目で見られているな。単なるアウトドアとでも思われていれば幸いだが。
「それでその、ルーティ君はおいくつなんですか?」
「誕生日はまだだったから……二歳だよ」
「まあ!」
ゼルダはきらきらと瞳を輝かせて頭の上に妄想を描く。
「そのお年頃なら雛鳥を連想させますわ。可愛らしいんでしょうね……!」
「どうかしら。インコの雛鳥は凶暴なことがあるのよ」
その隣でサムスが冷めた口調で語る。
「ははぁん。分かった。お前面白くねえんだろ」
ロイは後ろからひょいと顔を覗き込んで。
「ま、よくあるよな。妹や弟が出来ると母親を取られるんじゃないかって――」
「勘違いしないで」
この頃になるとサムスの髪は伸びてきて、ポニーテールにして括っていた。それを頭を横に振って束ねた髪を薙ぎ、後ろを歩いていたロイに攻撃。
「あだっ!」
「……着いたよ」
森が切り開かれた広々とした草地。そこに茶色の屋根が印象的な一軒家がぽつんと建っていた。こんな森の中なのだからウッドハウスを連想していただけに、何処からどう見ても普通の家であるラディスの実家は、まるで別の街にあった家を掘り起こし、そのまま持ってきたかのようでこの背景とセットでは少し浮いて見える。
ラディスはぽかんとしている一部のメンバーを気にも留めず、近くにあった赤いポストの中身をチェック。その中に封筒が入っているのを確認すると手に取り、そのまま石畳みを辿って扉の前へ。それから、ラディスはひと呼吸置いて。