第二章



「不戦勝だからってぇぇ!」
「よさないか、リム」

ぽかぽかと繰り返しラディスの胸を叩くリムを留めたのはユウである。

「む……ユウはいいでしゅよね! まだ戦ってないし、対戦相手は鳥しゃんだし」
「餓鬼の癖に、誰が鳥だ」

ファルコが容赦なくリムの頭に、拳骨。

「いったああい!」
「そういえば、クレシスは」
「今終わったみたいだぞ」

そう声をかけてきたのはフォックスである。どうやら自分が出ている隙に、幾つかの試合が終わっていたようだ。

「フォックス……試合は」
「そりゃあ」

くすっと笑って親指を立てる辺り、勝ったらしい。まずは上々か。

「そうか……よかっ」
「くそっ!」

壁を力任せに一度叩いたのは、今しがた帰ってきたばかりのクレシスである。

ラディスは目を丸くして。
 
 
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