第六章



そういうことだったのか。絡み合っていた疑問の糸が解けてくると、それがどんな事柄にせよ逆に不安が解消されて頭がすっきりとしてきたような気がする。

思えばフレイシー町長がバーナードという偽名を使って自分たちを騙していたのも、いずれああやってクロガネと車に乗り込み、森へ向かうその場面を見せつけるつもりだったというのなら賢い作戦だったかのように窺える。そうでなければあれほど深く追求はしなかっただろう。追いかけようともしなかったかもしれない。

「その、じゃあこの子の扱いというのは……」

ラディスは腰に抱きついているゲムヲに視線を落として。

「君たちが来るまでは確かに処分の対象だった。が、勝手ながらつけさせてもらったよ。撮影の都合でね。お陰で、彼自身の事情を知ることが出来た」

フレイシー町長は優しく微笑みかける。

「ありがとう。感謝しているよ」


その時、ゲムヲの口が辿るように小さく動いた。

ぎゅっと掴まれた服の裾。気恥ずかしい、けれど微かに紅潮した顔を隠すのを惜しんで小さく頷く。――今までで一番嬉しそうな顔だった。


「これで晴れてハッピーエンド。よかったじゃないですか」
「っじゃねーよどさくさに紛れやがって!」

にこにこと笑っているリンクをマリオは指差して。

「お前だよお前! なんで言わなかったんだ!」
「聞かれもしなかったようなことをわざわざ言わなきゃいけないんですか?」
「いやそこは助け合えよ! 仲間だろ!」
「ご都合主義ですね。それに自分、根に持つタイプなんで」

ふふ、と笑うリンクの表情には影が差している。

「謝っといた方がいいんじゃない?」
「……何が?」

本人がこれだもんな。

疑問符を浮かべるラディスに、カービィは小さく溜め息。
 
 
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