第六章



……もはや声にもならなかった。

普段なら何処かのタイミングで叫ぶのだろうが、それより何よりラディス含む四人の頭は混乱してしまっていて。少しずつ状況を整理して、ふと、気付く。


マスター。またお前か。


鬱憤は帰ってからたっぷりと晴らさせていただくとしよう。

「今、ラグナの町ではヒーロー作品が空前の大ブーム!」

フレイシー町長は目をぎらりと光らせて。

「漫画やアニメ、ドラマ、映画、それだけに留まらず小説もグッズもヒーロー作品に関わるものは全てラグナの町の住人を虜にしている! そこで私はとある考えに行き着いた……この町をヒーローの町として再建し、PRできないものかと!」

予想を遥かに上回る熱い人だった。 

「近年、ラグナの町はひと昔前の風潮がイメージ付けられて観光客が減っていた」

短く息を吐き出して、続ける。

「白魔術自身、近頃は関心が薄くてね。それでこのブームだろう? ならばいっそのことブームに肖ってこの町を再建できないものかと試行錯誤していたところ」

ぎらり。フレイシー町長は再びその目をラディス達に向ける。

「見つけたわけだよ。――君たちという素晴らしい逸材を!」

マリオはようやく話が見えてきたのか腕を組んで。

「だがこの町をPRする手助けをしてくれと頼み込んだところで、世界の特殊防衛部隊様が応じてくれるはずもない。そこで彼の少年の目撃情報を利用して討伐という形で依頼届を提出し、俺たちをこの町にまんまと誘い込んだというわけだな」

監督やスタッフは現在映像の確認を行っている。マルスはそれを遠目に見つめて、

「それで彼らに協力を要請したのか……」
 
 
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