第二章



フォックスとドンキーがそれぞれワープパネルの上に乗ると、青い光が二人の体を包み込み、やがて粒子となって消えた。

同時にモニター画面の表示が変わり、映像が映し出された。ステージ、だろうか。

幾つかの足場が浮遊しており、戦いの舞台になるであろうそこも空に浮かび、孤立している。成る程、幾ら体力が残っていようが落ちれば場外で即失格なのだろう。

「おっ」

間もなく、両側に青い光と共にフォックスとドンキーが現れた。マスターは双方が構えを取ったのを見ると、機械に備え付けられたマイクを通して口を開く。


「では、始めてくれ」


モニターからは音も声も聞こえてこなかったが、映像の二人が拳を交えると皆が息を呑んで見守っていた。

皆、声を上げて応援出来る程、余裕ではないわけだ。……とは思ったものの。

「っ、」

自分も余裕がない。ラディスはゆっくりと集団から離れ、気付かれないようにバトルルームから退却、一気に駆け出して。
 
 
10/66ページ
スキ