第六章
マスターからの通信が切れると、五人は揃って息を吐き出した。
「大方、研究の最中にでも電話を入れられたんだろうな」
あの声は明らかに機嫌が悪かった。
「さすがにこの次はないと思った方がいいですよ、ラディス」
ラディスはこくこくと頷いて。
「あー、疲れた。シャワー浴びてこよっと」
ヘッドフォンを外し、ベルトに手を掛けながらカービィ。顔を見られるわけにはいかないので、どんなに恥ずかしかろうがホテルのこの部屋に戻るまでは五人全員常にあの格好なのだ。カービィはふと、時計を見遣る。八時前だった。
「じゃ、俺は最後にすっかなー」
マリオはローテーブルの上のリモコンを取りつつソファーに腰掛けてテレビの電源を点ける。リンクは部屋の端っこで誰かに携帯でこそこそと電話中。
「……、」
窓辺に向かったラディスは一人、思い耽っていた。
「あの死神のことかい?」
そう声をかけてきたのはマルスである。
死神、か。ラディスは何となくその呼び方が気に入らなかった。もっと恐ろしいものを想像していたのだが、実物を見てとてもそうは思えなかったのだ。
人は見かけによらないとはよく言う。それは全ての生き物に共通する事柄だと自分は思う。だけどそういう意味で捉えてはいけない。今回はあんな少女の姿だったが本当はとんでもない化け物かもしれないとか、そうじゃなくて。
「……ラディス?」
死神とは、あの能力を見ての判断だったのではないか。白魔術師の人間が住む町であれば黒魔術を連想させる黒とは当然、あまりいい印象を持たない。
ヒーローショーでの敵役が黒魔術を操るという設定だったのも、つまりはそういうことだろう。……、待てよ? それってもしかして、