第六章
「くっ……なかなかやるな、ドクドクロ団……!」
「それだけボコっといてよく言うよ」
がくんとステージに跪き、まるで深手を負わされたかのように演じるラディス。が、その惨状から見てぼろぼろなのは雑魚敵ドクドクロの方である。
「でも、俺たちには守らなきゃいけないものがある! 負けるわけには」
「おーい設定設定」
「やっぱ負けそう!」
「その台詞は今更遅いんじゃないでしょうか」
こんなぐだぐだな演技でも、子供たちは笑って楽しんでは「イエロー諦めないで!」「頑張って!」などと声援を送ってくれるのだから複雑である。
「どうしようレッド!」
「いやどうするもこうするも圧勝だろ!」
何気に切り替えは上手いラディスである。縋り付くラディスにマリオは鬱陶しそうに引き離そうとして。一方でショーは締めに入ろうとステージの端から黒服の男、団長役のクロガネが人質として捕らえた司会のお姉さんを連れて現れた。
「ふ、情けない奴らだ。ならばこの私自ら相手してやるまで!」
そう言ってクロガネがステッキを手に前に出てくると、解放された司会のお姉さんは待機していたドクドクロ二人に両側から捕らえられてしまい。
「気をつけて! クロガネの得意技は黒魔法よ!」
「ええい余計なことを! 女を黙らせろ!」
「何? 口にナントカを咥えさせるの?」
「君はアダルトビデオの見過ぎじゃないかな」
マルスはじとっとした目で突っ込み。
「うきー!」
それにしてもこの雑魚敵のドクドクロとやら、何処かで聞いたような鳴き声だが気のせいだろう。もしこれで気付かせてしまったのなら申し訳ない。