第五章



今回の件については、さすがのラディスといえど相当こたえたようだ。

しかも彼の性格だ。相手が分かってて強く言い出せないので却ってストレスを溜め込んでしまう。それがその内派手に爆発してしまわなければいいのだが……

「呆れた。大の男が吐く弱音ほど情けないものはないわ」

ぐさっと背中から胸にかけて突き刺さる、言葉の刃。

「おいおい……少しは手加減してやれって」
「あら。子供相手にめげる大人なんて高が知れてるもの」

相手は部隊のリーダーさんよ、とサムスはつんと御澄まし。

「ま、これを機に精進することね。せいぜい頑張りなさい」
「頑張れって言葉が一番胸に刺さるんだぞ……!」
「それが子供だと言うのよ。言葉を貰えるだけ有り難く思うことね」
「大人だ……」


外は、まだ雨が降ってるのだろうか。

こういう時は外で暖かな風と日差しに当たりながら昼寝をするのが一番だというのに、非常に残念だ。ラディスは小さく息を吐き出して。食堂の扉を、開く。


「――ッ!?」


高らかに鳴り響く金属音。当然のようにラディスは固まった。

絶え間なくぶつかり合うのはマルスとカービィの剣。フォックスとファルコが遅れてやって来たが、やはりその光景を目にすると同じく声を失った。

「……おい! てめえら!」
「二人共落ち着いて、剣を置くんだ!」

いち早く我に返ったフォックスとファルコが声を上げるが、肝心の二人の耳には届かない。互いに言葉を交わさない辺り、完全に切れてしまっているらしい。
 
 
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