第一章
ラディスは怪訝そうに。
「何かあったのかい?」
「うーん……何か、皆して堅苦しいゆうんかな。本当の自分やないみたいな……」
彼の説明はあやふやだったが、子供なりにそれとなく空気を感じ取ってるようだ。
分からなくもない。輝かしいイメージを抱いていたつもりはないが、ここには“影”がある。皆が壁を作っているのだ。
「やけど、兄ちゃん達はほんわかしとる」
ドンキーはにっと笑って。
「いつか皆がそうなったらええなぁ」
子供というのは時として素直だ。
「叶うさ」
反射的にそう口走ったのはクレシスではなく、フォックスだった。彼が笑って視線を送った先にはラディスがいて。
「ん?」
が、彼は冷やし中華を食べている最中。
「空気を読め!」
「むぐっ」
本日二度目の拳骨。