第五章
「……え、任務?」
ラディスがちょうど食事を終えた頃、ファルコンが一枚の紙を手にやって来た。
「うむ。今朝入った依頼だ」
ファルコンはその紙をラディスに手渡す。
依頼届。依頼人はレイアーゼ都心部から少し離れた村に住む、雑貨屋の娘。
村から街へ向かう際に通ることになる小さな森に、気性の荒い厄介な魔物が住み着いてしまったらしい。既に被害も出ているので早急に退治してほしいとのこと。
極めて単純な依頼だが、どうも引っかかる点があった。
「あのいかれた野郎の仕業じゃねーだろうな」
ラディスはふぅむ、と唸って。
……気になっているのはそれなのだ。あれから一週間ほど経ってしまったが、息の根を止めたわけではない。トライフォースの伝承者を三人も此方で抱えている以上、それを狙っているあの男がいつ攻撃を仕掛けてくるかも分からないのだ。
少し考えすぎかもしれない。が、だからといってその可能性が無いとは言い切れないのが難点だ。あまり普段からこうやって気を張りたくないものだが……
「マスターは何か言っていたのか?」
「いや……」
「他人事かよ。薄情な野郎だぜ」
「ファルコ」
フォックスはそう呼んでひと睨み。
いつまでも深読みしていたのでは何も踏み出せない。ラディスは紙をテーブルの上に置いて立ち上がると、まずはぐるりと辺りを見回して。
「じゃ、早速メンバーを決めないとな……」
「そのことなんだが」
えっ。ラディスはファルコンを振り返る。
「もう決まっているらしいぞ」