第一章



「そういえば」

ベッドの縁に腰掛けるクレシスを見つめて、ラディスはふと話を切り出した。

「ん」
「何で、戦士になったんだ?」

クレシスは足を組んで。

「……そりゃあ、どんな強い戦士がいるかと思ってよ。俺も戦ってみたかったし」

彼らしい回答だ。

「お前は?」

質問を返されて、ラディスはうーんと唸った。開けた窓から風が入り込んで。

「……そうだな」

ラディスは口を開いた。

「家族さえ無事ならそれでいい、なんて台詞、古いだろ? そうじゃなくて俺は、もっと他の、誰かの為になりたいんだ」

クレシスは暫く黙り込んだ後、

「お前、そういうとこ変わんねーよな」

くすくすと笑って。

「おいおい、それはどういう」
「失礼」

その時、部屋の扉が開かれて。現れたのはフォックスだった。

「よかったら、一緒に食堂行かないか?」
 
 
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