第四章-後編-
「でも、どうして場所が分かったんだ?」
まさか無線機から聞こえる声や音だけで判断したとは思えない。魔王の城までは情報次第で辿り着けるだろうが、城内には幾つもの部屋があるのだ。
ここだ、とぴたりと当てるのはさすがに難しいだろう。
「その無線機にはGPSが搭載されてんだよ。細かい位置情報については屋敷にあるモニタールームで待機している――」
「キノコ王国王女、このピーチが承ったわよ!」
この声は。……というか耳がこう、キーンって。
「いいわね、これ! 司令部って感じでわくわくしちゃうわ!」
「あ、遊びじゃないんだから……」
溌剌としたピーチに続いてぼそぼそと聞こえてきたルイージの声に、ラディス達はくすくす。――どうやら、自分達は気付かない内に。
沢山の人に助けられてしまっていたらしい。
「……それより、少し急いだ方がいいかもしれないよ」
不意に緊迫した空気が流れる。
「ハイラル地方周辺の魔物の動きが急に活発化してね。まさかダークリンクもあれだけの痛手を負わされているんじゃすぐには動けないだろうし、だとしたら」
――ガノンドロフ。
「じゃあ、俺たちもすぐに」
「なぁに言ってんのよ。ここは私たちに任せなさい」
ピーチはふふんと笑って。
「ただのお高くとまったお姫様じゃないんだから」
成る程、これは心強い。
仕方ないな、といった具合にマリオはふっと小さく笑みをこぼすと、ラディスを見遣った。どうやら、のんびりしている時間もないらしい。
「――急ごう」