第四章-後編-
「……、あれ?」
頭を引っ叩かれたので振り返ると、そこにはハリセンを手にしたマリオが立っていた。ラディスがぐるりと辺りを見回してみると、フォックスやファルコ、カービィも上体を起こしている。それにここ、さっきの部屋と違うような。
「天国なんかじゃありませんよ」
そう口を開いた少年はラディスの傍で両膝を付き、続けた。
「ここは城の中にある大広間です」
ラディスは目を丸くして。
――その少年とはリンクだったのだ。改めて辺りを見回した後で、此方を見つめていたクレシスを視界に捉える。……じゃあ、ここは本当に天国じゃなくて。
だとしたら、彼は。
「ようやくお察しかよ。お前は相変わらず鈍」
次の瞬間、ラディスはクレシスを強く抱き締めていた。
「……幽霊じゃないよな」
「当たり前だ」
「天使、でもない?」
「気色悪いことを言うな」
クレシスは小さく息を吐き出した。
「生きてるっつの。……俺も、お前も」
これが夢なら覚めないでほしい――
そう、強く願った。その想いを知って今日だけは、つねってやろうかと頬に伸ばしかけた手を引っ込めて、代わりに、クレシスは頭に手を回して抱き締める。
「おかえり、クレシス」
ぽつりと呟かれた言葉には思わず目を丸くしたが。
「……ああ」
クレシスはふっと笑みをこぼす。
「ただいま、ラディス――」