第四章-後編-
こんなことになったのは、自分の甘さが原因だ。
あの時、例え非道でも殺しておくべきだったのかもしれない。でも、そうしなくてよかったと思う自分がいる。それはきっと、正しくて。自分が望んだ結果で。
それでも、俺は――
頭の奥にまで毒が染み渡ったみたいで、体が重い。
「っ……きろよ……」
声が聞こえる。まずい、天国かな。天国がいいなあ……
「起きろっつってんだろ!」
胸板を強く叩かれ、ラディスはびくっと体を跳ねさせた。
ぎゅっと瞼を瞑って苦しそうに咳き込み、うつ伏せに寝返りを打って荒く呼吸を繰り返す。やがてゆっくりと瞼を開き、自分の体を視界に捉えて唖然。
……実体がある。ということは。
「ラディス!」
その声にラディスは恐る恐る振り返って、硬直。
「っ……この、馬鹿や」
「ぎゃああぁあ!?」
間違えた! ここ、天国だ!
じゃなきゃクレシスが、ここにいるはずない! ど、どうしよう。というかあいつ、天使になったのか? ゆ、幽霊より偉いのか? 礼儀をきちんと……っ
「きっ……きき、今日からよろしくお願いしま」
「落ち着かんかい!」
――ああ。天国って厳しいなあ。