第四章-後編-
カービィが駆け出したが、ダークリンクの姿がぐらりと歪んだ。
斬りかかるよりも先に彼の姿は紫色の煙に溶け込むようにして消えてしまい、カービィは抜いた剣を振るって舌打ち。辺りを見回すが、何処にもいない。
「勝負なんてものはな、殺した者勝ちなんだよ」
ダークリンクの声だけが室内に響いていく。
「っ、かは……ぁ、が」
最初に跪き、地面に横たわったのはフォックスだった。
続けてマリオががくんと両膝を付き、倒れる。ファルコはフォックスが意識を失わないよう揺すり起こそうとしたが、煙を吸ったのか咳き込み、横たわって。
「は……何、それ……ずるっ……」
剣を地面に突き立ててその場に跪いたカービィだったが、そう声を洩らしながらずるずると落ちていき、倒れてしまった。残されたラディスもダークリンクを探して稲妻を放ったが、手応えはなく。やがて限界を迎えたのか跪いてしまい。
「あが……ぁあ、っ……」
苦しい。呼吸ができない。
目の前が霞む。口の中がねっとりとして、痺れる。唾液が口の端を伝っていくのが分かった。頭がぼうっとして、手足の感覚が無くなっていく。
駄目だ。こんなところで、意識を手放したりなんかしたら。
「っみ……ぃ、うぁ」
呼びかけようとするが、上手く呂律が回らない。
得意の稲妻も、腕を伸ばし放とうとしたところで自分が横たわってしまった。
「……くくっ」
視界を、紫色の煙が覆っていく。どうすればいい、どうすればと上手く機能しない頭の隅で思案していたその時、ダークリンクの声が再び響き渡ったのだ。
「いい悪夢を――」