第四章-後編-
「急ごう、ラディス」
フォックスに声をかけられ、はっと我に返る。
見れば、マリオやカービィはダークリンクの言っていた大広間に繋がっている扉へと向かっている。ラディスは小さく頷くと、小走りで後を追って。
「……、」
最後まで睨みを利かせていたファルコが離れると、ダークリンクの傷口を摩る手がぴたりと止まった。手のひらに付着した血を眺め、ぺろりと舐め取る。
独特の味が口の中に広がった。不意ににやりと笑って、呟く。
「だから人間は蔑まされるんだよ」
――次の瞬間だった。
「っ!?」
地面が、いやこの部屋全体が大きく揺れ始めたのだ。
それまで見ていた幻想的な景色はみるみる内に姿を変えて、そこはまるで廃墟の中の一室に。振り返ればダークリンクは立ち上がり、くくっと喉を鳴らして。
「あんたらは俺にとどめを刺さなかった」
ラディス達は再び構えを取ったが、ダークリンクはそれよりも早く。
「自業自得だろ?」
ぱちん、と指を鳴らして。
「なっ……」
それを合図に部屋の所々から噴き出す、紫色の煙。その正体をいち早く感知したフォックスは腕で鼻を塞ぐようにして後退し、叫んだ。
「吸うな! 毒ガスだ!」