第一章
少し歩いて街を抜けると、後はほぼ一本道で屋敷はすぐだった。森をバックに静かに佇むそれは、屋敷とだけあって大きい。
「マスターって何者なんだろうな」
門の鍵を開ける彼の背中を見つめながら、クレシスはぽつり。確か、これから住むことになるこの屋敷の主だったはずだが……
「――元々、司令塔の研究部に属してたところを、その功績が政府の目に止まって、そのまま引っこ抜かれたんだと」
そう答えたのは赤帽の男だった。
「詳しいんだな」
「つっても、弟のデータだけどな」
そう言って親指で差したのは、彼の弟と思しき緑の帽子の男。遠慮がちに頭を下げるのを見て、ラディスは微笑を浮かべる。
「俺はラディス。こいつは」
「クレシスだ」
赤帽の男はくすっと笑って。
「マリオだ」
「僕はルイージ」
「これから宜しく」
ラディスは手を差し出し、握手を求める。
「此方こそ」
――安心した。彼らはいい人のようだ。