第四章-後編-



多少のハプニングはあったものの、何とか城門まで全員が無事辿り着くことができた。……結局あの橋自体が罠で、渡っている最中に崩壊するんじゃないかと内心誰もが警戒していたわけだが、どうも親切な設計らしい。

「……ここが」

城門を開くと、だだっ広いエントランスがラディス達を迎えた。

見渡す限りでは幾つかの扉があり、中には分かりやすく錠の掛けられた扉もあって、どうやら一筋縄ではいかないようだ。ラディスは困ったように腕を組む。

「何処から攻略しようか」
「なんか、一気にRPGっぽくなったねぇ」

ゲームじゃないんだぞ、とマリオがカービィをひと睨み。

「それにしても本当にゲームのダンジョンみたいだな」
「でも、ここは魔王の家みたいなものだろ?」

ラディスは疑問符を浮かべて。

「俺の家よりでかいぞ……」
「当たり前だろ。なんたって魔王だぜ?」
「魔王ってそんなに凄いのか!」

今更というか、何というか。ファルコは人差し指で頬を掻いて。

「まあ……魔族の王だからな」
「いいよねぇ、超リッチじゃん。税金とかどうしてんのかな」
「ねえよ。魔王相手に誰が取り立てるんだ」


豪邸とは誰しも憧れるものだが、ルピリアとルーティの三人で住もうにもここはさすがに広すぎるな、とラディスは思った。

……魔王が如何に王であったとしても、誰も慕い、関わることはないだろう。

言い知れぬ孤独が渦巻くこの城で、彼はどれだけの長い時間を過ごしてきたのだろうか。それはきっと、死よりも恐ろしいものだというのに、彼は。


――気の遠くなるほど昔から、ずっと。


「よーし、まずはあの部屋っ!」
「騎士が見たら斬られる使い方だな……」

剣を立てて手を離し、倒れた時の剣先が示す方向を見て、カービィは指差した。

「……ラディス?」
「え、あっ」

フォックスが不思議そうに声をかける。

「行こう。置いてかれるぞ」
「そっそうだな」

それを確かめる為に。

お前だって人間だったはずだろ。魔王、ガノンドロフ――!
 
 
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