第四章-後編-
トラップにさえ気を付けていれば、魔物との戦闘は殆ど回避することが出来た。
「……あれかな」
木々のアーチの先に、仄かな光が見える。ラディスが目を凝らして見つめていると、我先にとカービィが駆け出した。こら待て! とマリオが後を追う。
「ちょ、二人共っ!」
「揃いも揃って……餓鬼かよ」
ファルコは呆れたように小さく溜め息。
「……なあ」
ふと、フォックスが口を開いた。
「なんか、暑くないか?」
森を抜けると、呆然としたように二人が立ち尽くしていた。
「っ……これは」
ラディスは驚いたように声を洩らす。
――大きく聳え立つ黒染めの城はすぐ目の前なのに、そこに辿り着くことは許されなかった。そこへと続く道は崩れ、崖となっていたのだ。
下は奈落の底ではなく、赤くたゆたう溶岩が広がっていて。暑いと感じたのは恐らくこいつのせいだ。どうしたものか、とラディスは思考を巡らせる。
「ちっ。こうと分かってりゃアーウィンで突撃したのに」
「一旦出直すか?」
「えー! ここらで休憩しようよー」
「誰のせいで体力使ったと思ってんだ!」
その時、フォックスの耳がぴくっと反応を示して。
「……引き返す必要はなさそうだぞ」