第四章-後編-
「喰らえ!」
真っ赤な炎の柱が、空に向かって放たれる。仲間を呼ぼうと飛び立った魔物が、一瞬にして焼き払われた瞬間だった。黒焦げたそれが落ちると、マリオはひと息。
「……ってまたお前か!」
突っ込まれたのはさっと目を逸らしたカービィ。
「だってほら、刺してくださいとばかりに台座が」
「学べよ!」
二回目だろうがっ、とマリオは何処からか取り出したハリセンを振り回しながら、逃げるカービィを追いかける。一方、ラディスは倒れた魔物をじっと見つめて。
「どうした?」
フォックスが怪訝そうに声をかける。
「……なんで、赤じゃないんだろうな」
恐らく人間でいう血液にあたる、魔物の体液だろう。確かに、まあ魔物だからという説明がつくにしても彼らの血液はどうして赤ではなく、多くは緑なのか。
「よかったじゃねえか。赤だと余計なこと思い出すだろ」
「今はともかく、さっきだったらまずかったかもしれないな」
ファルコが言うと、確かにとラディスは腕を組んで。
「……うん。緑でよかった」
「ああやって噴き出したのが緑で安心したぜ」
「緑だと赤にも増して気味が悪いけどな」
その会話の様子を、立ち止まって眺めていたマリオ。
「……何か、弟がディスられている気がする」