第四章-後編-
「ったく。ひやひやさせるぜ」
ファルコが言うと、ラディスは改めて引っ叩かれた自分の頬に手を触れた。
「あれは昼ドラでも見てる気分だったな」
「よしてくれ、マリオ。わざとじゃないんだ」
腕を組んでは割と真面目な顔で語るマリオに、フォックスは先程の光景を思い出してあたふた。ラディスは暫し自分の頬を撫でていたが、ふっと笑み。
「ありがとう、フォックス。痛かった」
「ご、ごめん……っ!」
恐らく本人に悪気はなかったのだろうが、フォックスには思わぬ追い討ちだったようだ。やーいざまあみろ、とカービィがからかうようににやにや。
「クレシスよりは遥かにマシだったぞ?」
「どれだけの頻度で打たれてんだよ、お前は」
呆れたようにファルコは呟く。
「……ラディス、その」
不意に気まずそうに口を開いたのはマリオだった。
「クレシスのことなんだが」
ラディスは不思議そうに首を傾げる。自分があんな状態だったので、その話題に触れるのは気が引けるのだろう。マリオは目を逸らして。
「……大丈夫さ」
口を開いたのはフォックスだった。
「そうだろ? ラディス」
「ああ」
ラディスは微笑んだ。
「信じるよ。あいつは強いからね」
「そ、そうか」
――傷口を焼いて塞ぎました、とか言いづらい。