第四章-後編-
マップデータによると、この森を抜けた先にある断崖絶壁に巨大な城が聳え立っているらしい。そこが目的地……即ち、魔王の住み処。
「低級の魔物には知能がない。だから視界を外れれば大抵は襲ってこないんだ」
「成る程。つまりその隙を突いて――」
「いや、ここでは魔物を無視して切り抜ける方が賢明だ。本命の為にも体力の温存はしておきたい。それに――あまり時間をかけるわけにもいかないから」
納得した様子のマリオを差し置いて、ラディスは先頭を歩き始める。
「意外と考えてるんだな」
「そう見える?」
カービィは腕を組んでラディスの背中を見つめていた。……
「くっ」
静寂を掻っ切るようにして森に鳴り響いた数発の銃声に、枝の上で羽根を休めていた鳥たちは忙しなく飛び立った。フォックスとファルコは背中合わせになって息を弾ませていたが、魔物たちが横たわったのを見ると互いに息をついて。
「お前が変なことするからだぞ!」
「うえっ」
マリオが声を荒げると、カービィは苦そうな顔をした。
「……だってさぁ、剣を刺してくださいとばかりに台座があるんだよ?」
「どう考えたってトラップだろ!」
カービィはびくっと肩を跳ねさせて、言い返す。
「そんなの分かんないじゃん! この馬鹿ヒゲ!」
「よーし。お前、表に出ろ」
「いやここ屋外だろ」
「そういう問題じゃ……な、なあ? ラディス」
フォックスは苦笑いを浮かべながら助けを求めるようにして振り返る。