第四章-後編-



ある地点を過ぎた辺りから、不穏な空気が風に混ざって吹き始めた。

「……そろそろかな」

現在、ラディスはフォックスの操縦するアーウィンのウィングの上に乗っている。

風が少し五月蝿いが、構わず無線のスイッチを入れた。ここで使う無線機の形状は戦闘場面で邪魔にならないようにと小型で、それぞれ襟に留めるタイプと、片方の耳たぶにピアスのようにして留めるタイプの二つがある。

前者はマイクの役割を、後者はイヤホンの役割を持っているのだ。

「フォックス、ファルコ。近くに着地点はあるか?」
「――……目的地まで飛ばさねえのか」

ラディスが聞くと、少しの雑音の後にファルコが返した。

「敵の反撃を受ける可能性がある」
「んなもん俺が蹴散らして」
「ファルコ。多勢に無勢と言うだろ」
「つーか俺も乗ってんだぞ」

フォックスとマリオが口々に言うと、ファルコはうっと言葉を詰まらせて。

「なんで俺のアーウィンに乗ったんだよ」
「人のせいにするな!」
「ちょっと。あんま叫ぶと耳に響くんだけど」

カービィは呆れたように呟く。

「ちっ……」
「近くに小さな森があるな。目的地に直結してる」
「よし。二人共、そこに降りてくれ」

ラディスはこくりと頷いて、二人にそう告げた。ファルコはそれでも不服そうだったが、命令通りにゆっくりとアーウィンを降下させていき。


――間もなくしてアーウィンは森の手前にある草地にそれぞれ着陸した。

「フォックス、ファルコ。念の為、自機のアーウィンは飛ばしておいた方がいい。ここらは魔物も多いだろうから」
「帰りに見たら壊されてた、なんてシャレになんねえな」

ラディスの提案に、さすがのファルコもこれだけはすぐに承諾して。
 
 
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