第四章-後編-
レイアーゼの領空を抜け、ハイラルに向かって降下している最中のこと。
「やあやあ、お待たせ」
ファルコが操縦するアーウィンに飛行しながら接近したのはカービィだった。
「……なんだぁ?」
見れば、カービィは緑の衣を身に纏っていたのである。これはもしや、リンクの能力をコピーしてきたのだろうか。ウィングの上で胡座をかいていたマリオはほお、と目を丸くして。――なかなか器用な能力だな。
「こんな時にコスプレかよ」
「失礼しちゃうな。ほら、あいつ言ってたじゃん」
ファルコは二週間前のハイラルでの任務を思い返す。
……そういやぁ、ヴァルバジアを一人で倒したかもしれない奴を揃って探していたんだとか言っていたな。いや、……だからって、まさかな……
「期待に応えてやろうじゃないの」
「お前がかよ」
「ふふん。僕ね、得意なんだよ。剣術」
カービィは得意気に笑ってみせる。
「……よく分からんが、見るのとやるのとでは違うんだぞ」
マリオが口を挟む。
「平気。実戦済みですから」
「腕のいい師匠でもいんのか?」
「ちょっとねぇ」
ほんとかよ、とファルコは笑って。
「……本当の問題はもっと別にあるんじゃないかな」
不意にぽつりと呟いて、カービィは黙り込んでしまい。マリオは疑問符を浮かべたが、それとなく察したファルコは目を細め、ただ、黙っていた。