第四章-後編-



ふとフォックスが目を向けてみると、ラディスは見惚れているというよりも何処かうわの空だった。声をかけようとも思ったが、後からやって来たカービィはそんな状態の彼を見ても特に突っ込まず、フォックスと視線を交わして。

「なんだ、戻ってたのか」

結局それで押し黙っていると、気付いたファルコが声をかけてきた。はっと目を開くラディス。……どうやら本当の意味で戻ってきたようだ。

「で、どうすんだよ」

こんな状態だというのに、こいつは気付かないのか。

そっとしといた方がいいだろうに……小さく息を吐き出したフォックスが、今度はファルコに注意を促すべく声をかけようとした、その時。

「これからハイラルに向かう。一緒に来てくれないか」

自分を指差して疑問符を飛ばすファルコに、ラディスは頷いて。

「フォックスも。……無理にとは言わない」
「俺は構わないが――」
「そうか。なら、これを二人に渡しておくよ」

ぽんぽんと話が進んでいく。

無線機を手渡され、フォックスとファルコは顔を見合わせた。そんな二人を気にも止めず、ラディスは間を縫って食堂に入ると、真っ直ぐとマリオの元へ。

「兄さん」
「ん、――おわっ! あ、と……あっはは! ど、どうした?」

ルイージに声をかけられて振り向くと、そこにいたのだからマリオは反射的に声を上げてしまった。ちらりとクレシスを横目で見遣って、こんな状態はさすがに見せられないな、と判断。さりげなく遮るような位置に移動して、苦笑い。
 
 
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