第四章-後編-
こういう人たちだ。
決して悪い意味ではない。ただ、違いすぎると感じただけなのだ。――彼らと。
「……なあ。自分の運命を恨んだことってあるか?」
「辛気臭いことを言うな。気味が悪いわ」
「真面目に聞いてるんだよ、一応」
そう返すと、クッパはふいと目を逸らして。
ピーチはそれまで摘まんで持ち上げていたドレスの裾をそっと離した。赤い染みを作ってしまうのも構わず、珍しく暗い表情を見せるマリオを一瞥。
「……それでも」
ピーチは口を開いた。
「生きるしか、ないじゃない」
マリオははっと顔を上げて。
「メイドコスの似合うショタを見つけるまでは絶対に生き延びてやるわ。むさい男共に振り回されて一生を終えるなんてまっぴら御免よ」
「人の感動を返せ」
殴りたい衝動に駆られて拳を震わせるマリオを、まあまあとルイージが宥める。
「あら。私は真面目よ」
「余計タチが悪いわ!」
そう突っ込んだ後で、マリオは小さく吹き出した。こんな状況下ではあるが、ぴんと糸が張ったような気持ちが解れて少し気が楽になったのである。
「我が輩も貴様に勝つまでは絶対に死んでやらん!」
「いつの話だろうね」
ルイージがからかうと、クッパはひと睨み。
「ごめんなさい」
「つか、自分の運命を恨んだことあるかって話だったのに」
どうしてこうなった、とばかりに呆れ顔でマリオ。
「――未来を持って今を生きる私たちに、そんな暇あるわけないじゃない」
するだけ無駄よ、と話すピーチに、マリオは今度も安心した。
「……ごもっとも」