第四章-後編-
ラディスが部屋から出ると、カービィが出迎えた。
「あんた、大丈夫なわけ?」
――何のことだろう。ラディスは怪訝そうに見つめる。
「……あまり思い出させたくもないからさ」
カービィが腕を組んで何処か気まずそうに視線を逸らし、察してくれとばかりに言うのでラディスは暫しぽかんとしていた。
「……いや。気にしないでくれ」
それだけ返すと、カービィはふぅん、と声を洩らして。
「それで。マスター、なんて言ってたの?」
「ああ、そのことなんだが」
ラディスはジャケットのポケットから小型の無線機を一つ、取り出した。
「五人編成で出動することになった。カービィ、来てくれるか?」
「別にいいけどさ。五人? なぁんか心許ないねえ」
「犠牲を最小限に抑える為だ。――足りない分は俺が補う」
カービィは無線機を受け取ると、それをじっと見つめて。ラディスは歩きだしたがすぐには追わず、不意に目を細めて小さく呟いた。
「……なんだよ。バカ」
メンバーの殆どは、まだ食堂にいるのだろう。
ラディスは扉の前で立ち止まり、何となく躊躇っていた。ゆっくりと息を吐き出し、ドアノブに手を伸ばす。しかし、ラディスの指が触れる前に扉は開いた。
「……ラディス」
そこで鉢合わせたのはフォックスだった。ふいと目を逸らした彼の後ろで、マリオが何かしている。ラディスはその姿を遠目に見つめて。