第四章-前編-
まさか、彼女の方から出向いてくるとは。
食堂を飛び出した後、リンクは苛立った様子で廊下をずかずかと歩いていた。
最後に見た、彼女の寂しそうな顔がいやに焼き付いている。リンクは顔を顰めつつエントランスまで出てくると、壁側に沿って設けられた二階への階段を上がって。
「ばかぁ!」
その声にリンクはぴたりと足を止めた。
「どうしてあんなっ」
「そない刺激したらあかんって!」
声を上げたのはリムだった。
怒りに任せて階段を上がろうとしたところを、後ろからドンキーが捕まえて。
「なによ、猿のクセにぃぃ!」
「あほ、ゆうとる場合やないやろ!」
「よさないか、二人して」
留めたのはユウだった。
「だから子供だと言われるんだ」
リンクはゆっくりと振り返る。その蒼い瞳に宿した感情は紛れもない、怒りだった。