第三章
タイミングが重要だ。
炎の餌食にだけはなりたくない。真っ黒焦げで帰ったら笑い者だ。カービィは無意識の内に、握っている手に力を込めて。
「……いいかい?」
ラディスは合図をかける。
「今だ!」
二人は稲妻の威力を弱めて、跳び上がる。
勢いを殺された稲妻は途端に炎に押し返され、二人の体は宙に浮いた姿勢のままどんどん外へ向かって押し出されていく。
「切らすなよ!」
「言われなくたって!」
地上まで、あと少し。
炎がほぼ目の前なので、熱気が伝わってくる。――間もなく二人の体は地上に到達したが、尚も高く突き上げられ、不意に。
炎と稲妻が同時に途切れた。
「やっ」
ようやく地上に出られたかと思えば、そこは空中だった。……改めて言おう。
そこは“空中”だったのだ。