第三章
「……時間がかかりそうだな」
「どうすんのさ!」
焦っている様子のカービィ。
その時、もう一度咆哮が響き渡って二人は同時に振り向いた。暗闇の奥から、何かが物凄い勢いで迫ってきている。
だがしかし、それはあの竜ではなかった。
「……カービィ」
じり、とラディスは一歩下がって。
やがて暗闇の奥から現れたのはヴァルバジアではなく、真っ赤な炎だった。
「へえ。そういうこと」
カービィは自嘲気味に小さく笑って。
「さすがの僕でも、あんたを抱えてこの場を切り抜けようなんてことは無理だよ」
「そこまでは要求しないが」
ラディスは静かに手を突き出した。
「少し、付き合ってもらうよ」
迫りくる炎を目前にして、ラディスは何を考えているのか。間もなく、彼の腕に青い電気が走ればカービィはふっと笑って。
「――上等っ!」