第三章
ヴァルバジアの咆哮が響き渡る。
追いつかれないか不安だが、後ろを振り返って確かめる暇もない。とにかく今は全力で、まだ見ぬ出口を目指して走り続ける。
「っていうか」
カービィはラディスを見つめて。
「あんた、走れんじゃん」
「え……」
ラディスは苦笑いを浮かべる。
「あれは、その」
「別に。完治ってわけにはいかないけど、体内の電気を使って痛みを和らげてんでしょ。……はあ。無茶しちゃってさ」
カービィはふいと目を逸らす。
するとラディスは掴んでいたカービィの腕を一旦離し、代わりに手を握って。
「意地でも離さないからな」
カービィは小さく目を開いたが、ふっと表情が和らいだ。ぎゅっと手を握り返して。
「……こっちの台詞だし」
ようやく光が差す場所に出てきたかと思えば、そこは急な斜面になっていた。
ラディスとカービィは立ち止まって。