エピローグ
そこには、一人の少年がいた。
これまで面影を重ね続けてきたその人の影を何処にも残さない。
――ルーティ・フォンという人が。
「父さん」
再び墓石と向き合って語る。
「皆を守ってくれてありがとう」
少年の背中は。
その日誰よりも大人びていて。
「……いってくるね」
小さく呟いて振り返るとそこには、たくさんの仲間がいた。それからゆっくりと地を踏みしめて足を進めるたびその先で待つ仲間の元へ近付くたび。幾度となく憧れと尊敬を抱き追いかけ続けてきた、愛する父の元を離れるような――そんな感覚を覚えながら。
しっかりと。地を踏んで。
「……ラディス」
花束を墓石の前に添えて立ち上がる。
「相変わらずモテモテだねー」
カービィが笑った。
「何だよ、塩饅頭って」
「カービィにしてはセンスがないよね」
「うるさいなーヒゲ兄弟」
「誰がヒゲだ!」
途端に口を揃えてお決まりの声を上げるマリオとルイージに、周りの人間は失笑するやらくすくすと笑うやら。