エピローグ
もう何度足を運んだだろう。
雨の日も、風の日も。
一面に広がる黄色の景色を迎えた。
無意識の内に探してたんだ。
その景色の中に。
何故か。お前が居るような気がして――
アーチをくぐった途端。吹き抜ける風に思わず目を瞑った。淡く香る向日葵の匂いに誘われるようにそっと瞼を開いて、けれど日光に当てられた向日葵畑はなかなかに眩しく。……ゆっくりと。
視界に受け入れて。
その場所は優しい風が吹いていた。
先にいた子供たちが肩を並べて見惚れるのを何となく心和ませ流れる髪を直してから視線を上げたと同時、気付く。
向日葵畑の中。
ぽつりと置かれた墓石の前に。
吹く風に黄色の髪を靡かせて佇む――
「……ラディス?」
白昼夢というか。
花の群れは時として幻を見せるものだと昔誰かが言っていた気がする。
「……皆」
はっと現実に引き戻された。
「ルーティ」
振り向いたその人を。
フォックスはぽつりと呼んで。