エピローグ
「――全員揃ったか?」
花や供物だけ買うつもりが観光みたいになってしまった。先に行かせたルーティも流石にルピリアさんとの話を済ませているだろうし今頃は皆が来ないって父の墓に泣き縋ってるかもしれないな……
「フォックス」
人数を確認して歩き出す。直後に駆け寄ってきたのはファルコだった。
「お前は何か買ったのか?」
「何も。ファルコは?」
「いんや」
ファルコは笑って、
「どうせ誰かが買ってるだろうからな」
暫くしてリュカは隣を歩いていたネスの服の裾をくいと引いた。
「……あれ」
木々の切れ目から窺える、他の木よりも一際大きくぽつりと聳え立つ木。
「あれは聖樹フィエスタ」
リオンが答えた。
「せいじゅ?」
「この国の神様みたいなものだよ」
へえ、とネスとリュカは声を揃えた。
「我々ポケモンの種族が貴殿らと同じく人の形をしているのはあの聖樹のお陰とされている」
「じゃあ燃えたらどうすんの?」
「燃えないよー」
口を挟んだのはローナ。
「だって神様だもん」
男はちらりと聖樹を見遣った。
「本当に燃やしたら祟られるわ」
「そーそー」
「触らぬ神に祟りなしってやつか」
「マスターとクレイジーも、そのくらいおとなしかったらいいのにね」
リュカは苦笑い。