エピローグ
――メヌエル都市、繁華街。
「もー!」
てな具合に牛の鳴き声――ではなく不服の声を上げて膨れるのはピチカである。
「リムったら飛行機に乗ってから忘れ物に気付くなんてっ!」
……どうやら墓に添える花や供物を屋敷に忘れてしまったようなのだ。
「あ、貴方たちと話していたからど忘れしちゃったんじゃない」
「違うでしょ!」
ぴしゃりと。
「とんちんかんって言うのよ!」
ううっ。
「な、何もそこまで言わなくたっていいじゃない……」
「貴女も昔同じことを言ってましたよ」
「えええっ?」
「早速ど忘れしよる」
笑うリンクとドンキーに「いつの話よ」とリムは膨れる。一方で近くにあった花屋からピーチとゼルダが出てきた。二人共花束を持っているが白い花が少しと、後は黄色の花ばかりである。
「――結局、今年も黄色いお花ばかりになっちゃったわね」
「ラディスは黄色が好きでしたから」
ゼルダは肩を竦める。
「また喜んでくれますよ」
「……そうね」
そうして笑った後にはたと気付いた。
「サムス。何を買ったの?」
見れば彼女だけは何故か花束ではなく、白いビニール袋を手に提げている。
「……肥料と。あと、向日葵の種」
くすっと笑みをこぼして。
「喜んでくれるかしら」
「ええ。……喜んでくれるわ、絶対に」