エピローグ
……それからほんの少し瞼を閉じて。
次にゆっくりと開いた時、ルーティは元の家の前にいた。どのくらいの時間が過ぎたのか、はたまたただの一瞬でしかない出来事だったのかは知らないが迎えた景色の中でただ二人並んでじっと此方を見つめるマスターとクレイジーを視界に捉えるとルーティは踏み出して。
ゆっくりと。歩を進め、距離が縮まれど依然として双子は立ち竦んだまま。
「なに?」
目の前で足を止め顔を上げたルーティにクレイジーが聞いた。
「……手を出してもらえるかな」
変わった要望だった。ちらっと視線を交わして二人はそれぞれの手を差し出す。
すると。
「……!」
ルーティは。
二人の手をそっと手に取って。
「温かい」
呟く。
「生きているんだね」
……もっと色んなことに気付きたかったよね。良いことも悪いことも全部、受け入れる覚悟で。うぅん、覚悟なんて気を張ったものじゃない。
皆みたいに。……自然体で。
「ありがとう」
小さく目を開く。
「生まれてきてくれて」
滲む。
「この世界を」
温もりを。
「……ありがとう」