エピローグ
その光景が遠ざかり、白い光に包まれると次の記憶の映像とやらが目の前に広がった。
「はあああっ!」
甲高い音が高らかに。
一心不乱に剣を振るうのはマルスだった。普段の姿からは想像もつかぬような厳つい顔つきで食らいつくように相手の剣を叩いて弾く。
「マルス……」
その後ろで静かにその名をこぼし、見守るのはロイだった。寂しそうな表情を浮かべていた彼は遂に視線を落とし目を逸らすと、閉じて。
俺も、あいつも。
……信じてるからな。
記憶の映像が移り変わる。
次に映し出されたのは雨降り頻る曇天の空。視点がゆっくりと下りてその先の白い半円の一軒家を捉える。
窓。窓辺から外の様子をぼうっと眺めていたのはカービィだった。彼も普段陽気で楽天的な姿からは想像もつかないような暗い表情で。
溜め息をひとつ。
……雨、止まないなぁ。
何年でも何十年でも。
俺たちは信じて待ってるから。
あの日々と同じ。
同じ場所で。
だから、もう少しだけ。
……信じさせて。