エピローグ



そういうことか、とルーティは悟った。

脳裏に蘇って浮かぶのは降り頻る雨の日の出来事。あの日――雨が降り出す少し前ルーティはマスターとクレイジーの二人と交戦した後催眠術によって封じ込められていた記憶を引きずり出された。

……それはかつて自分を愛しそして愛した父ラディスの本当の姿とDX部隊に関する正しい記憶。


――父さんじゃなくて、別の誰かが死ねばよかったのに!


「……分からない」

ルーティは視線を落とした。

「父さんはマスターとクレイジーに殺されたんだって……だから仇を、絶対に殺さなきゃってずっとそんなことばかり……考えてた」

巨大な要塞に立ち向かうラディスの姿がフラッシュバックのようにして繰り返し映り込む。

「……ちょっとした偶然というか。父さんがDX部隊にいた頃どう過ごしてどう戦ってきたのか知って」


本当に守りたかったのは。


「同情?」
「迷い?」
「……うぅん」

口々に訊ねるのを首を横に振って。

「分からない」

繰り返す。

「……分からなくなっちゃった」
 
 
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