エピローグ



程なく裏通りを抜けて反対側の通りに出ると目も眩むような陽射しが待ってましたとばかりに二人を迎えた。まったく……これだけ日が照っているとダークシャドウじゃなくとも火傷を負ってしまいそうなものである。なるべく日が当たらないルートを選びたいところだったが残念なことに表の通りと比べて周りの建物がそれほど高くないときた。少年は鍔付きの帽子を被っているので平気かもしれないが自分は正直な話、堪える。近頃は男が差していても普通だと聞くし日傘を買うのは有りなのかもしれない。

「あっづー」

なんてぼやいたのは当然ルーティではない──通りすがり際アイスクリーム屋に並んでいた少年が手で仰ぎながら言ったのである。

「随分と並んでいるな」
「この暑さだからね」

なんてやりとりをしながら横切る。

「ああもうこれ知ってるよ……自然災害レベルに暑すぎてオレ達溶けてなくなっちゃうってこと」
「それはさすがに穏やかじゃないね」

付き添いの青年の発言に少年は頷く。

「ハンディファン持ってくればよかったなー……」


傍目には大差ないのかもしれないが右側の方が日陰が多そうだ──ルーティはそう思ってさりげなく左側の道から右側の道へ逸れた。

「あたっ」

なんて急な方向転換をするからぶつかるのだ。

「おっと」

よろめいたところを腕を掴まれる。

「……大丈夫かい?」


今時珍しい、白銀の髪色。


「す、すみませんっ」

ルーティは慌てて頭を下げて謝った。

「いいよ。僕もよく見てなかったし」
「兄さんどうしたの?」

それも双子の兄妹ときた。

「何でもないよ」

話しかけた少女に少年が返す。

「あ、じゃあ」

ルーティは小さくお辞儀をしてそそくさと。

「兄さん。これでいいの?」

見送った後で少女は少年に本を差し出す。

「ありがとう。見つかったんだね」
「在庫切れしてたみたいだけど」

ほら、と視線を遣った先には一台のトラック。

「タイミングがよかったみたいだね」

少年が笑えば少女も釣られて微笑みながら。

「読み通り、でしょう?」
 
 
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