エピローグ
これは。
紛うことなき喧嘩では。
「ち、ちょっと、ちょっと待ってください!」
こんな繁華街の目立つ場所で人に囲われながら喧嘩をするなんて──! 低身長が災いして人混みを抜け出すのに手間取ったがそれでもどうにか辿り着いた。そのまま足を止めず割って入りながらルーティが声を上げれば男と少年は注目する。
「ま、街中で……良くないです。えっと……何があったんですか?」
「ガキがガキを呼びやがって」
餓鬼と掘られた岩石が頭に伸し掛かる(幻覚)。
「すっこんでろ!」
んんん。擁護のしようがない荒れっぷり!
「このまま邪魔するってなら──」
影。
「テメェから始末してやる!」
まずい。
「わ、わっ」
その男は百八十センチ以上はあるであろう身長で縦に大きければ横にも大きかった。そんな巨躯と呼ぶに相応しい体格の男が拳を引いて殴りかかろうと足を踏み出している──ルーティは周囲の目を気にして一歩後ろに下がったがこればかりは条件反射というものでその拳が目の前まで迫った時体中に電気が走る感覚を覚えて。
拳を躱しながら腕を捕まえて言葉で説明出来ない計算式が脳裏を駆け巡るがまま軽々と。
……背負い投げ。
「あああっ」
ルーティは慌てふためきながら。
「だ、だから"待って"って言ったのに──!」