エピローグ
言葉の通り、というものである。
そもそもの話がこの日差しなのだしちょっとやそっとの日焼けくらい寧ろ健康的で何らおかしいものでもないのだろうが思いの外こんがりと焦げたパンのように焼けてしまったメンバーもちらほら──普通に過ごしていればそんな日焼けの仕方はしないだろうということで疑いをかけられない為にも日焼け痕が落ち着くまで交換条件付きで延長してくれたというわけである。
……飛行機の中でピチカの寝顔をたくさん撮っておいてよかった。
「なに買うの?」
「ま、無難に冷たい食べ物とかだな」
住宅街を過ぎて繁華街に差し掛かる。
「向こうの角の茶屋で善哉やってんだよ」
スピカは腕を組みながら。
「この時期は氷みたいにひんやり冷やしてあって美味いらしいぜ──べっ、別にこないだたまたま見かけたから一緒に行きたいなとか思ってマークしてたとかそういうのじゃ」
ルーティは立ち止まる。
「だから別に深い意味なんかないんだからな……っておい! 聞いて──」
「もういっぺん言ってみろ、このクソガキ!」
知らぬ男の怒号が響き渡る。
「図体が大きいばかりで思考を巡らせる頭までは成長されてないようだなと言ったんだ」
続けざま少年の声。
「痛い目に遭いてえみてぇだなあ?」
「成る程、近年稀に見る申し分のない威勢だ。結果が見えている以上些か気乗りはしないが、郷に入っては郷に従えという諺もある」
顔を見合わせたルーティとスピカは声を頼りに人混みを掻き分けて近付く。
「かかってきなさい。そうも見せしめになりたいというのなら喜んでお相手しよう──」