最終章



あれよあれよという間に引っ張り出されて。

「はいっ、次! 次歌います!」

しっかりと腕を捕まえたまま元気よく手を振り挙げて宣言してくれるものだから逃げられるはずもなかった。いいよいいよ、とそれでも尚ルーティが引け腰になっていると不意に後ろから肩を叩かれたので大袈裟に肩を跳ねて振り返る。

「よっ、ルーティ!」
「なんだ次はお前が歌うのか?」

ソニックとスネークだった。

「う、歌うつもりはないんだけど」
「ええーっ!」

不服そうな声を上げたのはピチカである。

「僕と一緒に歌おうよう!」
「まあ待ちたまえよ」

腰に手を当てながら、ローナ。

「本日の主役こそ大トリに残しておくべきじゃあないのかい?」
「そういうことだからマイクは頂くわね」
「誰でもいいなら私だって歌いたいんだけど」
「リムが歌ったら眠くなっちゃうんだもん」
「調整くらいできるわよ」

周辺が妙に騒がしくなってきた。

「大トリということは目立つだろうな」

いつの間にか挟まれている。

「ハァッ……焦らしに焦らした後のルーティ殿の魅惑のショタボイスに期待が持たれる……!」

ユウとリオンが口々に。

「俺たちはどうする?」
「お前……まさか一緒に歌うつもりか?」
「何事も経験、だろ?」
「ああっ! ローナってばずるい!」
「こういうのは先に曲を入れたもの勝ち──」
「あのっ!」

一斉に注目した先。

「そ、その」

ルーティはもじもじとしながら。

「やっぱり僕が次に歌いま」
「よくぞ言ってくれた! 存分に歌いたまえ!」
「このマイクはあなたのものよ」
「歌え歌え」
「パンツも脱いでおいたぞ!」

もの凄くハメられた気がする!
 
 
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