最終章
光が当たると仄かに紫みのかかっている青色の御髪は今の今更見間違えるはずも。宝石のラピスラズリを連想させる蒼い瞳は流石は一国を担う王子といったところ。端正な目鼻立ちも何から何まで恵まれているなと見惚れつつ。
「マルス」
ようやく。その名前を口にする。
「放っておいていいの?」
ルーティがカービィ達を指差しながらじっとりとした目で訊くとマルスは肩を竦めて笑って、
「まさか」
視線を遣った先。
「全く。王の側近とは名ばかりだな」
呆れたように息を吐き出したのはデデデ。
「しっかり撮っておけよ」
「分かりました!」
「任せてくださいっ!」
物的証拠を収めようとしてる。
「このカメラ、毛穴までばっちり映りますよ!」
「デデさんこれいくらしたんですか?」
口々に言うポポとナナにデデデは目を細めて意味深に薄笑みを湛えながら人差し指を立てる。
「いち?」
「じゅう?」
息呑む二人を前に。
今度は人差し指を唇に添えて。
「……秘密だ」
「ええーっ!」
誑かすのが上手だなぁ……
「ここだけの話」
そんなやり取りを目に苦笑いを浮かべていたルーティは話を切り出したマルスを振り返る。
「感謝しているんだよ」