最終章
暫しの無言の後。
「……ゔ」
糸が切れたように弾けるように。
「ルゥゥゥティイイイ!」
これまた感極まって飛び掛かろうとしたピーチの首根っこを咄嗟に後ろから掴んで半ば強引に引き留めたのはサムスだった。
「ふぐえぇっ!」
「なんやなんやぁ?」
「さっきから何を騒いでいるんですか?」
ようやく事態に気付いてやって来たのはドリンクの注がれた紙コップを手に近くで会話を楽しんでいたらしいドンキーとリンクの二人である。小さく息を吐き出して振り向いたサムスは首根っこを掴んだピーチを突き出しながら。
「混ざりたいのなら構わないけれど」
「ふ、ぅげっ……」
「離したれ離したれ」
真っ青やないかいとドンキーが指摘した通りピーチは首が絞まってしまっているのか苦しげに顔を青ざめて手をパタパタと動かしている。
「出し物ですかぁ?」
「少しは状況を見たらどうだ」
混ざるヨッシーにワリオは呆れ顔。
「ど、どうしたのだピーチ!」
「あーもう構うな構うな」
駆け付けてきたクッパを目に流石に見兼ねたのだろう、マリオは戻ってくるなりどうどうと両手を軽く挙げながら距離が詰まらないよう阻むようにしてその間にするりと割り込む。
「ムッ! キサマ、また我が輩の邪魔を──」
「おーおーやるのか?」
ツッコミが追い付かない事態に疎外感さえ感じさせられながらルーティが苦笑いを浮かべていれば不意に頭の上に手のひらが乗せられた。目を丸くして見上げた頃にはその手のひらは退けられて──けれどその先には。まるで今の内に他の連中の所に行けと促すような視線。
「あ、……ありがとう、……ガノンドロフっ」