最終章
ルーティが戻ろうとした──その時である。
「ルーティっ!」
不意打ちで飛びかかってきたのは。
「わぁっ!?」
思わず声を上げるルーティに一度は背中を向けたマリオとルイージも振り返った。事態を察するや否やマリオは帽子の鍔を掴みながら溜め息。
「まったくうちのお転婆姫様は」
「まあまあ」
その発言からお察しの通り──ルーティに飛び付いて抱き締めながら感極まった様子で頬擦りするのはピーチだった。例えば相手が年下であれば異性であってもそれほど意識はしないのだが年上の女性ともなれば流石に話が変わってくる。
「わ、わ……!」
めちゃくちゃいい匂いがする……!
「すべすべふにふに魅惑のショタ肌っ……お願いだからいつまでも十代でいてねルーティ……!」
何言ってるんだこの人。
「やめなさい」
引き剥がしたのはサムスである。すみませんすみませんとまるで保護者のようにゼルダが繰り返し頭を下げるもルーティはというとじっとり湿気を含んだジト目。見た目はあれだけ素敵なお姫様だというのにどうして中身はこんな──それだって彼女に限った話でもないが。
「だって! ルーティったらどんどん成長して」
懲りず訴えかける彼女を目にギョッとした。
「その内……私の身長だって抜かすんだわ……」
泣いている。
「喜ぶのか悲しむのかどっちかにしなさいよ」
「よ、喜んでるわよおっ!」
「あはは」
ルーティは思わず苦笑を零したが。
「大きくなっても僕は僕だよ」
後ろ手を組んで肩を竦めながら照れ臭そうに。
「変わらないよ」