最終章



一体いつから計画していたのやら──斯くしてルーティの誕生日パーティは大盛況の中で無事開幕する事となった。宣言された通りカラオケ大会が始まったのか途端に大音量で音楽が鳴り始め室内は類を見ない大賑わい。早い段階でマイクを奪い合いながら歌う子どもたちに笑っていればとんと肩を叩かれてルーティが振り返ると。

「よっ。楽しんでるか?」

ルーティは目をキラキラさせながら応える。

「マリオ! ルイージ!」

肩を竦めて笑うマリオとひらひらと手を振って微笑するルイージの姿がそこにあった。ルーティが子どもたちの側をそっと離れるとこの騒ぎの中では声も聞こえにくいと判断したであろうマリオの手招きに従い食堂の片隅へ。

「驚いたかい?」
「うんっ!」
「作戦大成功だな」

笑顔で応えるルーティに満足したのか、マリオとルイージは拳を軽くぶつけて交わす。

「いつから計画してたの?」
「聞いて驚け。なんと初日だ」

ルーティは思わず声を上げそうになった。

「……よく間に合ったね!?」
「思い付きで行動するのなんざ慣れてるからな」
「僕たちにとっては得意分野まであるでしょ」

それはそう。自分だって今回の旅行を企てたのも計画的ではなかった訳だし──それでまさか自分が与り知らぬところで密かに進んでいた計画に驚かされるものだとは想像もしていなかった。自分が突発的な旅行を発表したあの瞬間も皆はこんな気持ちだったのだろうか。

「サプライズって良いよね」

ルイージが笑う。

「今日は思いっきり楽しめよ!」
「……うんっ!」
 
 
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